施設紹介
愛染寺の境内には、全国に唯一愛染寺にしかないものや、全国でも珍しいものがあります。
ご参拝や散策の折に、どうぞご覧くださいませ。
全国でも2例の逸品。温泉掘削の際に使われた「大坂掘りの鉄棒」
愛染寺が在する片山津温泉は、目の前に柴山潟が広がり、奥に霊峰白山(標高2702m)を望むという絶景の温泉地です。源泉は潟の湖底にあるということで、大変な苦労の末、今から130年前に開湯しました。愛染寺には、湖底から温泉を掘り出すための道具(鉄の棒)が残されています。この棒を湖底に突き刺し、はしごをかけて1本1本つないでいくという「大坂掘り」と呼ばれる技法で、現存する道具としては全国で2例しかないといわれています。
現在、この鉄棒は愛染寺の駐車場横のガラスケースに保管されています。片山津の地の原点に関わった先人の夢や苦労を、この道具は物語っている感がいたします。
日本で唯一といわれる「黒鉛の石」を用いた、片山津開湯の祖・近藤氏の記念碑
温泉掘削に尽力を注いだ、開湯の祖・近藤氏の記念碑。彫刻家・山下晴子氏(石川県能美市在住)の作品で2002年に近藤氏のご子孫より寄贈されました。片山津のお湯の力で石が持ち上がっているイメージを力強く表現されています。日本で唯一愛染寺にしかないといわれている、黒鉛(グラファイト)の石を用いた大変貴重な作品でもあります。
納骨堂に永遠の美をもたらす「ガラス絵」
愛染寺の納骨堂や護摩堂は、石川県内の素晴らしいアーティストの方々とのコラボレーションで彩られています。
納骨堂にはお一人にひとつずつ、ガラス絵作家の鹿山栄子氏による手描きのガラス絵がはめ込まれています。江戸時代、オランダから上陸したガラス絵は「ビードロ絵」と呼ばれ、多くの美術愛好家に親しまれており、現代では『絵の宝石』とも讃えられています。ガラス絵は、絵の具面が空気に触れることがないので、絵の具が劣化することなく美しさを保つことができ、そのため「永遠」に新鮮な骨董とも呼ばれているそうです。
護摩堂を見守る美しい曼茶羅「ステンドグラス」
護摩堂の入口を見上げると美しい立体的なステンドグラスの作品があります。こちらは辺本良治氏(石川県内灘町在住)の作品です。
9つに区切られた小窓に、さまざまな色彩が輝くステンドグラスは曼荼羅(マンダラ)を表現しています。外からの光が差し込み、きらきらと輝く様は、皆さまの祈りの光を現しているかのようでもあります。そして、護摩壇の両脇を照らす照明も、辺本氏によるステンドグラスの作品です。ステンドグラスからもれるやわらかな光が、天上世界への祈りを照らすかのようです。
護摩堂の須弥壇に用いた「加賀紙衣」
仏さまをお祀りしてある須弥壇には、紙衣作家の坂本秋央氏による作品を用いました。流れる金の彩りは、まるで天を舞う鳳凰のようです。
坂本氏は加賀二俣の地で、加賀藩の御紙屋肝入の末裔18代続く紙漉きの家に生まれ、世界で唯一の「加賀紙衣」の作家として活躍されています。伝統の様式にとらわれることなく、世界をまたにかける工芸家かつアーティストであり、日本を代表する和紙のパイオニアでもあります。