愛染寺は、以前は金沢にあったお寺でした
愛染寺の興りは六百年以上前。かつては「愛染坊」と称し、兼六園近くに建立されていました。慶長年間、卯辰山に新寺を建立するにあたり、寺号を廃止し仏像などを譲ったと云われております。1649年(慶安2年)には加賀藩五代藩主・前田綱紀公が当山の再興を発願。「鎮護山 愛染院」として再建され、以来、前田家の安産祈願所とされました。一方、片山津温泉は1653年(承応2年)大聖寺藩二代藩主・前田利明公が、鷹狩りで水鳥が柴山潟に群れているのを見て、柴山潟から温泉が沸きい出ているのを発見したとされています。それ以降、幾人もの人々が水面の埋め立て工事を試みるも失敗が続き、よくやく願いが叶ったのは1882年(明治15年)のこと。それが片山津温泉の始まりです。
温泉宿が建ち、湯治に訪れる人もだんだんと増え、温泉町としての町が形成されてゆきます。そこで温泉を守るために「お薬師さんが必要」と立ち上がった町民衆がいろいろと探し尋ね、その願いが形となったのは明治20年代の中頃。金沢より「愛染院」をこの地に迎えることができ、その後『瑠璃光山 愛染寺』となり現在に至っております。以来百二十年余り。片山津温泉の守護寺として、地元の方には「愛染寺」という名前よりも、親しみを込めて「お薬師さん」と呼ばれています。
【寺歴】
●室町時代
愛染坊として兼六園近くに建立
●慶安2年
加賀藩五代藩主・前田綱紀公が「鎮護山 愛染院」として再建
前田家の安産祈願所となる
●明治20年代中頃
金沢より片山津温泉に移転
●昭和44年
本堂落慶
●平成13年
12月 愛染寺護摩堂完成
●平成14年
4月 護摩堂落慶法要
7月 石川建築賞入選
11月 石川県バリアフリー社会推進施設部門最優秀賞
●平成15年
4月20日 ご本尊薬師如来 ご開帳法要
●平成21年
8月 永代供養納骨堂「無憂(むう)」完成(詳しくは納骨堂のページへ)